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第二節 子女の責任分担

一 準備と基盤、実力と実績

ク 準備は歴史の要請

 皆さんが知らなければならないことは、人間は現在だけを生きているのではないということです。過去の先祖の時代からずっと生きてきたし、今も生きているし、これからも生きていかなければならないのです。そして、過去も現在も未来も、いつでも競争しているのです。また、必ず相対がいるのです。オリンピック大会で、もし、チャンピオンになろうとすれば、チャンピオンシップに対し、必ず挑戦しようとするのです。これはしかたのないことです。歴史過程において、より高い次元に発展するために、それは不可避的な現象なのです。

 ですから、いつでも挑戦を受けなければならず、その挑戦を克服できる過程を経なければなりません。そうでなければ、より高い発展した世界に前進できないということが、歴史観においても、社会生活においても、発展の天理であり、原則であるということを知らなければなりません。

 今まで先生は、とてつもなく大きいみ旨を抱いて、戦ってきたのですが、今は世界的基盤がある程度築かれてきたのです。その過程において、先生が一番心配することは何かというと、準備のない人、基盤のない人、よりどころのない人のことなのです。このような人ほど、悲惨な人はいないのです。

 例えば軍隊でいうと、軍隊のあらゆる装備であるとか、軍事訓練であるとか、軍の要件に必要なすべての環境、あるいは補給的環境、縦横に動くことのできる環境の与件を連結させることのできる基盤がないことが一番悲惨なことなのです。基盤がないことと、その次には準備ができていないことほど、悲惨なことはありません。

 いかに実力があったとしても、その実力を中心として、自分が対社会環境に挑戦して克服するためには、長い期間の準備が必要なのです。必ず準備が必要なのです。その準備過程を経ずしては、絶対に基盤というものは出てこないのです。

 今日、統一教会がこれほどの基盤を築くことができたのは、天の摂理から見た時に、既に準備ができていたからなのです。それでは、旧約時代を立てて成してきたことは何かというと、メシヤのための準備をしたことです。そして新約時代は、再臨主を迎えるための準備をしたのです。

 ですから、再臨主を準備しておいて、新しい次元に発展させることのできる基台を形成していかなければなりません。準備したところから、すべての時代の環境を整理して、新しい次元に発展させて、新しい基盤を形成しなければならないのです。

 この新しい基盤が、古い基盤よりも勝らなければ、旧時代の歴史は新しい時代に移らないのです。これが、歴史的な天理なのです。このことは、皆さんの個人生活においても適用されることであり、社会生活、また、国家の行く道や歴史の行く道にも同様に適用されるのです。人間の一生を考えてみた時に、人間は一生をどのように生きるべきなのか、その準備をしなければならないのです。(一九八四・七・一九)