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四 本性の道

ク 若い時に人生の目標を確実に立てる

 それでは今、皆さんが自分の現在の位置が分からないということは船が航海する時、緯度や経度が何度であるのかも分からず航海するのと、ちょうど同じことです。自分がどんな位置にいるのかを知り、自分の方向を正確に知らなければなりません。自分が行くべき道を確定しなければなりません。(一九八二・一〇・二〇)

 私は何をすべきかという観を持たなければなりません。既に二十代になっていれば、二十代の観を持って「私はこういうことをするのだ」と、しっかり決めて、一生涯をそのように努力していけば、その人は歴史的な人物になるとか、何かを残せる人になるのです。人の目を気にしながら、環境に拍子を適当に合わせて生きようとする人は、流れていってしまうのです。自分がどんなことをするのかしっかりと決めた後には、どんな難関があってもその目的のために、戦っていくことのできる勇気がなければなりません。それらを嫌だと思わないで、全部消化できる肝っ玉がなければなりません。(一九八二・一〇・二〇)

 世の中が、そうなのです。すべてが競争なのです。そこから脱落しないためには、自分自らが失敗せず、一年を失わず、一か月を失わない確実な道を行かなければなりません。それを、どのように行くのかということも競争なのです。一年遅れれば、ついて行けなくなるのです。一年遅れてしまえば、家庭では既に赤ちゃんが生まれて、すべてに一足遅れてしまいます。ついて行けなくなるのです。弓を引くのと同じことです。同じ力で矢を弦にかけて引けば、矢先を頭にして飛んでいくのです。そうでなければ、何倍もの速い推進力が加えられなければなりません。ところが、そのような人はいないのです。

 ですから、青春時代の一年をどのように消化するのかということが一番重要なのです。そして、自分の観をしっかりと持って、そこに合わせていかなければなりません。ダイヤルと同じなのです。コンパスと同じなのです。航海する時には、方向をしっかりとつかんで、コンパスで角度をしっかりとつかんで、出発しなければなりません。そうしてエンジンをかけて、スクリューを回して、航海しなければならないのです。万が一、出発してから振り返る時には、それだけ大変なのです。(一九八二・一〇・二〇)

 皆さんが、自ら「私はどのような道を行くべきなのか」ということを知って、行かなければならないというのです。方向をしっかりと決めたら、それを中心として、ありったけの力をすべて投入するのです。疲れてしまって目も開けられないほど、耳も聴こえないほどに、すべてのものを投入しなければなりません。                                 (一九八二・一〇・二〇)

 今から、皆さんが確実な決心をして、自らの体と心を一つにして、行くべき道をしっかりと知って、それをつかんだ後には、二十四時間、寝る時もそのために寝なければなりません。目を開ければ、そのために森羅万象を全部、探究するのです。比較するのです。自分の世界をつくらなければならないというのです。一つの心、一つの思いで精誠を込めて、そのような世界にしっかりと根を張って、行き来すれば、天下に名を残す男になるのです。(一九八二・一〇・二〇)