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一.統一のための政治指導者の責任
いつの時にも一つの国の情勢、あるいはその国の運命を決定する責任者は多くの人ではないのです。その国が非常時に遭遇した時、その国の運命を解決するための方向提示は、ただ一人の人から始まるのです。大勢の人の共同決定を通じて方向を提示するのではなく、ある一人の人が提示した条件をうまく受け入れれば、その国は生き延びることができるのです。しかし、その一人の人の意見を受け入れなければ、その国は永久に歴史の裏道に流れ去ってしまうという事実を、我々は歴史的な実証から見てはっきりと知ることができるのです。
このような立場からこの国を眺めてみると、韓民族よ、お前はどこへ行くのかというのです。問題が大きいのです。神様がいらっしゃるのなら神様が韓国を放棄してしまわれるでしょうか。本当に放棄してしまわれたなら別ですが、放棄されなかったとするならこの韓国にみ旨があるのです。韓国にみ旨があるというのです。このような立場から我々はあらゆるものを考慮せずにはいられないのです。韓国を世界が注視しているのです。(六三―二七二)
大統領に当選した人は国家のために何をしなければならないのでしょうか。その人が政党の推薦を受けて大統領になったからといって、自分の政党の主張を除外したものすべてを無視してしまってはならないのです。あらゆる政党の政策を収拾して、超党的な立場に立って政策を展開していかなければなりません。また超党的な支持を集めて南北統一について対処していかなければなりません。それが大統領当選者が取らなければならない立場であり、責任だと考えるのです。
韓国の次期大統領当選者は今後政策の重点をどこに置かなければならないでしょうか。政策の重点は、民族の希望である南北統一にその目標を合わせなければならないであろうと考えます。北韓は解放以後四十余年間にわたって、南韓を赤化統一するために準備をしてきたという事実を忘れてはならないのです。金日成は共産主義という世界的な理念を中心に、四十余年の間膨大な組織をつくって教育を行い、武力を備蓄してきながら決定的な時期をねらっています。これに反して南韓の政権は、今までどの時代においても、南北を統一しようと準備をした統治者はいません。今からでも南北統一のためにあらゆる国民を一つに結んで、あらゆる国力を統一のために集中しなければなりません。そのためには執権党や野党や在野団体すべてが、これに同参することができる方法をつくらなければならないのです。あらゆる国民が一つになることのできる環境を造成しなければなりません。今後の政府が行かなければならない道が南北統一の道であるとすれば、たくさんの難関が我々の前を遮っているのです。(一九八八・一・一)
ここに来ている機関長たちによくよく言っておきます。大統領の席に座ってみたいと思っている人たちが四、五人でもいるなら、きょう集まり、一つとなって「どう歩めば良いのか」と聞いてみなさい。私が教えてあげたとおりに行けば、間違いなく大韓民国は生き返るのです。(一六八―九二)
韓国の歴史の中で統一の聖業を成し遂げる人は、最も偉大な人物として記録され、その名は千秋万代に残るのです。大統領について言うなら、統一を成し遂げることこそが最も偉大な業績となるのです。我々もまたこの時代にそのような業績が残されるように、互いに力を合わせて助け合わなければならないのです。北韓解放を成し遂げる大統領こそが、偉大な人物として国民と共に生きていくのです。
我々がこの世の人々の誤解を受けながらも政府を助けているのは、北韓解放と南北統一が成し遂げられるようにするためです。どの政党が政権を担当しても、あるいはどのような人が大統領になっても、この統一の聖業を成し遂げることができるように助けているのです。(一九八八・五・一)
大統領になったなら大統領の上の席をまた求めて上がっていくのではなく、国を求めて下を振り向かなければならないのです。国民のために尽くさなければならないのです。(六一―三三五)
今から韓国の大統領が出てくるなら、南韓を犠牲にして北韓を解放するという大統領が出てこなければなりません。そうでなければ、この国は天国の祝福を受けることができません。
南北関係が統一のために本格的な席を設ける時には、思想戦が熾烈に繰り広げられるのです。その時のために準備を行わなければなりません。あらゆる国民たちが思想武装を徹底的にしておかなければなりません。韓国の政治指導者の中からも南北統一のための準備を指導することのできる人が現れなければなりません。日本やアメリカも、世界の舞台を中心に天運を受け継ぐことのできる人々をたくさん輩出していかなければなりません。
先生は世界のために準備を行っていますが、皆さんが一つの国のために準備ができないとすれば、永遠に後ろ指を指される人となってしまうことでしょう。世界へ出ていくことのできる大韓民国になるかならないかは、未来の希望に対する準備がどのくらいできるかにかかっているのです。(一九八六・一〇・二一)