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第四節 南北韓総選挙を通した南北統一論

一.遠くない将来に南北総選挙時代が来る

 どのみち将来はこの民族が世界の先端に立って、世界史的な運動を左右するのです。現在このような時代的な環境になりつつあるということを、皆さんは知らなければなりません。

 今から大韓民国が解決しなければならない問題は何ですか。共和党が行っている大統領選挙、国会議員選挙、もちろんこのようなことも問題になりますが、それらは重要な問題ではありません。そのようなことよりももっと重要な問題があります。今回国連総会においても韓国問題を議題として採択し、国連の監視下での南北韓総選挙の問題を取り上げています。これまでは北韓政府がこれを拒否していました。しかし南韓内における地下組織を強化し、自分たちのあらゆる目的や計画を間違いなく成就することができるという確信がもてるようになれば、間違いなく「選挙を行おう」と持ちかけてくることでしょう。

 それなら我々はこれにどう備えなければならないでしょうか。統一教会が心配するのは、この問題に対してどのように備えるのかということです。それゆえ次期大統領選挙よりもっと切迫した問題が、南北総選挙に備えるための国家的な運動を展開するということなのです。

 

これを準備するために昨年、三次にわたって復興団を編成したのです。少なくとも百二十カ郡、三百六十箇所以上の面を対象として思想武装を行わせ、また汎社会的に思想運動を繰り広げて鍛練を施し、訓練を行わせようというのが先生の計画です。(一六―六八)

 金日成が南北総選挙をもち出すことのできる、その日がそう遠くないと見るのです。(一九八六・一・一)

 金日成が今回一九八八年のオリンピックが終われば、間違いなく平和攻勢を全面に押し出して南北総選挙を主張してくるでしょう。(一九八八・一・二一)

 よく見なさい。南北総選挙時代が遠くない将来やってくるのです。そのことを中共が願い、日本が願い、アメリカが願い、ソ連までが願っているのです。世界情勢が全部これを統一することのできる運勢になっていくのです。天の運勢が到来するのです。政治を行う人は知りませんが、神様の運勢はコンパスで図りながら「さっ」「さっ」と角度を合わせて、今やぴったりと合うようになりつつあります。我々のような人は天運を見ることができるのです。(一六五―一八八)

 北韓共産党政権はオリンピック大会にソ連が参席し、中共が参席し、衛星国家が参席するようになって、共産圏においても隅に追い詰められるような事態を迎えています。それがまさに神様の摂理であるというのです。金日成が彼の一代において、このように窮地に追い詰められたことはかつて一度もありません。六・二五事変の時の惨敗よりもっと困難な政局を迎えているのです。ソ連にけられ、衛星国家に蹴られ、世界世論に押されて、隅に追われた悲惨な身の上になったのです。そのためにもう破れかぶれになって、挑発行為を引き起こすかもしれません。

 それゆえソウル・オリンピック大会が終わる前に、南韓まで赤化しようして無謀な挑発を行ってくるかもしれません。しかしながら先生は彼らが追い詰められている現時点において、各共産党同士、相互間の関係をすべて打ち切ってしまうという作戦を展開しています。それゆえ我々は、すぐ目と鼻の先に危険な時期がやって来たことを悟らなければなりません。万一金日成が挑発を行うことが不可能であると思われるような場合には、総選挙を持ち出してくるのです。オリンピックがあるからといって中共もこれに駆けつけ、ソ連も駆けつけ、彼らが信じてきた共産衛星国家もやって来て、あらゆる国が韓国に出入りし、そのうえ南韓の選挙までも滞りなく進行しているのを見て、偏狭な金日成の心は果たしてどうでしょうか。だから我々も国境を解放して往来しながら、ソ連の支持のもとに、中共の保護のもとに、アメリカと日本は手を引いたとしても、中・ソ両国の理解のもとに「南北韓総選挙を行おう」と言うようになっているのです。そうなればアメリカと日本は、ほかのどの国々よりもそれに賛成するようになっています。経済的に自国の商品を二倍も売りつけることができるからなのです。このように摂理の時が完全に到来すれば、北韓共産党も引き込まれずにいられないのです。このような危急な状況が目前にまで近づいていることを知らなければなりません。その時に備えて急がなくてはなりません。準備をしなければ南韓が滅びるのです。先生はこのような時が来るであろうということをあらかじめ知っていたので、十年前からそのための準備を行ってきました。皆さんもこのような事実をよくよく知らなければなりません。(一九八八・一・二)

 国際情勢から見るとき、韓国は南北統一をどのように行わなければならないのですか。それは選挙を通して行われると見るのです。中共が願い、日本が願い、ソ連までも願うというのです。八八オリンピック大会に参加するつもりなら、今火遊びが起これば困るのです。この期間に我々は鉢巻きをしっかり締め直して準備を行わなければならないのです。分かりますか。(はい)。時を知っているのに、どうしてできないということがあるでしょうか。(一六五―一三〇)

 金日成の性格から見る時、「ええい、中共にしても、ソ連にしてもおとなしく信じてばかりいるのではなく、行動に訴えて南韓を急襲し、これを手中に収めてしまえばよいではないか」。こう考えるというのです。もし攻撃ができないようになるなら、その時には必ず南北総選挙を行おうと言い出すのです。南北総選挙を行おうと言ってくれば、ソ連も喜び、中共も喜び、アメリカも日本もそれを歓迎するのです。仕方なくそこに引きずり込まれざるを得ないのです。ですから今年重要なことは、韓国の南北統一を造成することなのです。(一九八八・一・三)

 今は金日成の前にいる国民も全員尻をからげて、三十八度線の向こうに出ようとしています。南韓にいる国民たちも政党が争う姿が見るに忍びないために、どこへでも尻をからげて行ってしまいたいと思っているのです。どこに行かなければなりませんか。北韓に行かなければなりません。北韓の国民は南韓に尻を向けて後ずさりし、南韓の国民は北韓に行こうと後ずさりするというのです。そうして三十八度線で出会って、戦うことより和合することのできる運動が起こればどれほどよいことでしょうか。今そうなっているというのです。

 金日成も今や、体制を中心としてこれを維持することが困難な段階に入ったのです。一方こちらの現政府も難しい段階に入ってくるのです。ですから周辺の情勢を見る時、アメリカは北韓と南韓が争うことを望みません。日本も望まないのです。中共も望みません。ソ連を見ても、一九八八年のオリンピック大会を前にして自分たちが思いのままに操作しようとするのです。

 このように見る時、金日成が南北韓総選挙を持ち出してくる日が近いうちにあるだろうと考えるのです。その時にはどうするつもりですか。南韓が国連側を通じて「三カ月以内に行おう」と言えば、彼らは初めのうちは「ああ、いいね」と言うでしょう。その後でしきりに妨害に出てくるのです。二カ月に短縮しよう、さらに進んで一カ月にしよう、二十日にしよう、こうなるのです。大体妥協することのできる限界線が四十日以内です。二カ月にまでにはならず、二つの月にまたがった四十日程度にして決定しよう、我々は南北韓総選挙を行おう、こうなるのです。そうなれば北韓の二千万は金日成一色です。一方、南韓は誰ですか。南韓からは色とりどりのやからが大勢出てくることでしょう。この時に我々が必要になるのです。この時に我々が必要になるというのです。(一六六―一二五)