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甚だしくは、北韓では小学校一学年の子供たちも全部スパイなのです。少年たちには学校で賞をくれるようになっています。新しい事実を報告すれば学校で賞をくれるのです。それで自分の両親が話した言葉を報告するようになっています。男の子も女の子も学校に行けば両親がどのような話をしたのか、秘密裏に報告するようになっているというのです。責任者がいて党と連結されるのです。そうしたうえで指令を出すのです。「お前の父親、母親がこのような話をしたのか、行って聞いてみろ」と、このようにするのです。一度でも聞いてみればすぐに反動分子として引っ掛かりやすい答えをするように仕向けるのです。こうして学生の父兄を中心にして選り分けておくのです。
ここにおいて父兄たちを、自分たちの側なのか、反動分子なのかすべて選り分けておきます。そうして父母が子供を不信するようにしてしまうのです。父母が息子、娘を信ずることができなくなるので、その息子、娘は誰を信ずるのかと言えば、父母よりも学校の先生たちを信じます。それゆえ学校を中心として完全に連結されるのです。
このように国家を背景にして学校を中心とした体制をつくることによって、金日成を父とする段階から上に上がるようになるのです。小学生たちに「お前たちの父母は信じていないのではないか」、こう言いつつ情報活動をさせるのです。しきりに報告させるようにするのです。このように離間しておくので、そのようになるのです。信じることができないので、誰をより信じるのかといえば、学校の先生をより信じるようになるのです。そうしておいて小学生も組織に入るように活動させるのです。
それからまた親戚が来れば、どのような話をしたのか全部報告するようになっています。ある親戚が来て帰っていけば、必ず報告するようになっています。報告をするのに、どのような内容の話をしたのか、その内容を文書に記さずに報告したら気合いを入れられるのです。
そうなっているのです。だから父親と母親が話をすれば、小さな子供たちが行ったり来たりしながら全部聞きます。姉が聞き、弟が聞いて「私はこのようなことを聞いたけれど、お前もこのようなことを聞いたかい?」というふうにして、一緒に行って報告をするのです。
このように組織が編成されています。こうして学生たちが報告したことを中心にして、反動色を帯びた言葉や行動をした人たちは必ず不純分子、異色分子として配給量を削減するのです。ですから間違っていると誰もが知っていながらも、口をつぐんで黙っているのです。口がありながらも話ができません。もし話をしてそれが漏れれば配給量が減るのです。(一六三―一八五)
先日金万鉄さんの息子たちが話をしたのですが、本当にそのとおりでした。それよりもむごくはあっても、それ以下ということはあり得ません。それ以上なのです。朝出掛ければ夜十二時になってやっと帰ってくるというのです。これは本当のことです。子供たちを絶対に家に置いておきません。家とは何ですか。反動分子の巣窟だというのです。マルクスの共産主義理論を見れば、家庭は偶像だといっています。家庭が、そして父母が搾取の元祖だといっているのです。それで家庭に関する趣味を絶対にもつことができないようにします。学校ですべて抱え込んでこのような教育をしていくのです。お前たちの家は心を落ちつけて暮らす場所ではない、こう言うのです。そうしておいて金日成を父親と言いくるめて教育をしていくのです。
このような北韓に対処して、我々がこれを解放すると名乗り出たということは簡単なことではありません。(一六三―一八七)