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五.共産主義の体制

 共産圏は一つの体制を中心に体制の単一化が成されています。その他の二元体制がありません。そうしてそれに対し頑強な個人の力、氏族、民族、国家の力がすべてを支持し、これを後押ししています。これに対抗することのできるものが、我々には何もないのです。軍隊もなく、国家もなく、何もありません。どのくらい強い体制をつくらなくてはならないのか、考えてみる必要があります。首を全部切って吊してみなければ判決点がありません。(一九八八・一・二)

 今、共産主義体制がいかに変化したといっても、共産主義体制からすべて抜け出すことはできません。自生的な社会主義体制を取っていくとは言っても、彼らはいかなる自由世界も信じはしないのです。だから橋を架ける所がないのです。(一六二―一五五)

 共産世界における体制変更は不可能です。全部滅びなければ後退する道がありません。そのようになっているのです。これが中国共産党の場合、最も難しいのです。そこで私の考えは、今の思想体制下で体系をつくっておくということです。共産党以上の体系を備えた内容さえしっかりと組み入れれば、その体制をそのまま全部つかみ取ることができるというのです。このような良いチャンスがやって来たのです。中国共産党が今後退したとしても、それがすべて崩壊しては大事になるのです。問題が複雑です。建国時代のような混乱の時代に入っているのです。(一六三―二〇八)

 今中国共産党の抱える難題は、体制をどのように変更させるかという問題です。その上部から末端まで連結された体制を変更させなければならないのですが、それが極めて困難です。それゆえ思想的に武装された若者たちや、体制基盤において主導的な役割をしていた人たちの反対によって副作用が多いというのです。そのため新しい思想を導入して、共産主義の組織体制以上の組織体制に接ぎ木するまでは、共産主義体制の変更が難しいのです。(一六三―一九三)