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世界史を通して見るとき、古代ヨーロッパで最大の帝国として燦爛たる文化の花を咲かせながら、ヨーロッパの大半とアフリカ北部およびアジアの一部まで支配した国が古代ローマでした。
古代ローマの文化は西欧文化の根幹となったばかりでなく、今日までも世界に影響力を及ぼしています。その理由はどこにあるのでしょうか。
イタリアは地中海沿岸に位置している半島国家です。「ヨーロッパの古代文化は地中海の文化」と言うほどに、地中海は古代ギリシャ・ローマ文化の源泉となった所です。地中海沿岸でもイタリア半島は春・夏・秋・冬の四季がはっきりした温帯地域として、ちょうど我が国のように季節の自然摂理がはっきりした所です。言い換えれば、世界で最も気候がよく、自然環境がよい所の一つがイタリア半島です。
ところで人類文化現象の原則的な基本を考慮してみるとき、春・夏・秋・冬の総合的な文明圏が形成されることのできる所は、イタリアのような気候条件においてです。すなわち、温帯・熱帯・涼帯・寒帯などのすべての文明圏を一つに総合することができ、また輩出することのできる所がイタリアのような国です。そのために、そのような天恵の気候条件をもったイタリアにおいて世界を支配することのできる文化が花咲いたということは、歴史の偶然ではなくて、必然的なことでした。ところが、ローマは神様が賦与してくださった世界史的な使命、すなわちローマ帝国を中心として全世界を一つの神様主権へと復帰させることによって、この地球上に人類と神様が追究してきた春節気の温帯文明圏を形成しなければならなかった、その世界史的な使命を果たすことができなかったので、ローマで花咲いた温帯文化は継続して持続することができずに、途中でしぼんでしまいました。そのようにしてローマではその温帯文明が完全に花咲き、実を結ぶことができなかったのです。
それでは今、古代ローマを中心として燦爛と花咲こうとしたまま、咲けなかった地中海の文明が再び巡回して、地中海文明のような温帯文明が誕生する所はどこになるのでしょうか。同じ半島国家である韓半島です。西半球の地中海から地球の東半球へと移動してくれば、地中海文明のような新しい文明を燦爛と花咲かせることのできる所、イタリアのような半島国家としてイタリアのような天恵の気候と自然条件をもった国は、韓半島しかありません。
考えてみてください! 韓国は本当に不思議です。春・夏・秋・冬の四季がはっきりしており、山水が秀麗で、「錦繍江山」と言えばまさに我が国のことをいう言葉なのです。そこには冬の季節にも三寒四温の気候まであります。それだけでなく、昔から我が国を称して「静かなる朝の国」と呼んできました。また、世界歴史を概観するとき、世界で唯一我が国だけが、朝食文化圏を形成しています。このようにいろいろと客観的な春節気文明の誕生地となることのできる可能性が十分だというのです。(一九八〇・一一・二)