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三.神様を中心とした一つの世界主義

1 神様を中心とした一つの世界主義

 全世界の人たちが好み、霊界と万物を創造した神様がそれこそ自分の時だということのできる時期は、キリスト教文明時代でもなく、共産圏文明時代でもありません。それらは国家基準を越えられませんでした。共産主義はスラブ民族を中心として世界を制覇しようとし、キリスト教も自分の宗教を中心として世界を制覇しようとしました。ユダヤ教も同じでした。ですから、世界主義を中心として成長していくことのできる超民族的な運動が必要です。そのような気運が、世界のどこかで芽を出さなければなりません。

 その運動は人種を超越しなければなりません。黒人、白人、黄色人種が、お互いに差別してはなりません。我々は世界を一つにしなければならず、天地を一つにしなければなりません。このように見るとき、我々が主張するものほど偉大で驚くべき主義はありません。

 共産主義は物質世界に根幹を置いています。また、数多くの宗教は自分たちの霊的な、あるいは、現実的な問題解決にだけきゅうきゅうとしています。すべてのものはなくなるのです。

 我々の現実的な課題は天国を実現するところにあります。その後に神様から福を受けようというのが我々の考えです。しかし、まず我々は神様を助けてあげ、神様を解放しようというのです。神様に福を与えようというのです。このような教理は今までありませんでした。このように見るとき、本当に見事で、言い表せないくらい素晴らしい内容です。

 統一教会の主流思想は、「どこにでも行こう」というものです。共産圏にも行き、霊界にも行き、地獄にまで行こうというものです。神様のところにまで行こうというものです。

 このように見るとき、この主義は間違いなく神様まで喜ぶものです。人も喜び、万物も喜ぶことのできる主義です。形容できないくらい、最高に見事なものです。(八六―三二四)

 今日、統一教会は合同結婚式をします。民族を超越して異民族同士、あるいは、皮膚の色の違う人種同士が結婚します。人種の差別が最もひどいアメリカでも、白人が黒人と結婚しようと先を争ってきます。

 このような現象は、民族と国家を超越した一つの世界主義、お一人の神様の神主義でのみ可能です。

 私は以前アメリカで語ったことがありますが、我々統一教会の教会員が何の一族、何のやからなのかといえば、愛の一族です。ラブ・レース(love race)です。何の愛の一族でしょうか。神様の愛によって結束し一致した一族です。その一族が大きくなれば、何になるでしょうか。愛の民族となります。

 今、大韓民国の人口が四千万くらいになります。統一教会の教会員が四千万を超えるようになれば、大韓民国を凌駕し得る力を集めることができます。なぜなら、彼らにとって統一教会は彼らが属した家庭や社会、そして、民族や国家以上に真なる信仰の祖国であり、精神的な母国だからです。いいえ、彼らは自分の生命よりももっと愛する神様お一人を中心として、金城鉄壁のごとく結束した一つの愛の一族であり、民族だからです。ここでは、父母であられるお一人の神様を中心とした神主義しかありません。神様を中心とした一つの世界主義、兄弟主義しかありません。

 普通、世界主義といえば、民族と国家を無視し、全世界を一つの国家、全人類を同胞として見るという意味にとどまりますが、統一教会でいう世界主義は、家庭からその壁を超越します。父母であられるお一人の神様と、血のつながった本当の兄弟と変わらない兄弟として、全人類が一つの世界を成し遂げるという世界主義です。これがどれほど素晴らしい世界主義ですか。

 このような思想をもった統一教会なので、統一教会の運動がついに世界的な運動として広がっていっているのです。(一九八一・四・二五)

2 神様を解放し世界を解放すべき我々

 我々は、人格的な神様を信じるだけでなく、心情的な神様を論議していっています。それは今までの宗教では発見できなかったのです。我々は、神様が悲しみの中にらっしゃる、ということを知りました。神様が拘束されていらっしゃるということを知りました。

 その神様を世界的に解放してさしあげて初めて、幸福の道が生まれるのです。神様が解放されて初めて、我々の幸福なる人生が出発します。これが統一史観です。今までの宗教は、神様によって自分が解放され、自分の家庭が解放されるだろうと信じてきました。そのような宗教を信奉してきた国が解放されましたか。そうではありません。神様によって解放されることを願う宗教は、その根本から誤っているのです。我々は正しい道を発見したのです。それゆえ、世の中がどのように反対しても、堂々と主張し、堂々と行進していかなければなりません。

 我々は自分の体を捧げて世界を救い、神様まで解放してさしあげなければならないという決意を誓わなければなりません。そのような信念をもち、四方八方に命を懸けて前進していくならば、神様は常に我々と共にいらっしゃるでしょう。

 神様は、ご自身の解放のために努力する我々を助けざるを得ません。統一教会の信仰目標は何ですか。我々は、我々自身が救われるために信仰していますか。違います。自分よりも国、国よりは世界を救うために信仰しています。世界の救いが成されれば、自分の国は自然に救われるのです。

 キリスト教がこのような思想をもっていたなら、数百の宗派に分裂することはあり得ませんでした。先生は、神様の解放という一つの目標に向かって、生涯を捧げて働いてきました。今までの人間は民主主義を中心として、「人間の自由」と「人間の解放」を主張してきました。これに比べて、我々は「神様の自由、神様の解放」を主張します。天宙を主管できる神様として復帰してさしあげよう、と主張しています。

 この問題を解決したなら、人間の解放はもちろん、人間の自由の回復はおのずとなされるようになります。それゆえ、皆さんは各自、自分は神様を解放し、世界を解放するために生まれたという自覚をもたなければなりません。(一九七五・七・一三)

 神様を崇拝する者は誰ですか。今日、終末に置かれている聖徒たちです。また、神様を安息させてさしあげる者は誰ですか。取るに足らない我々です。このように神様の解怨は、我々の双肩に、心と体にかかっているということを我々は知らなければなりません。人類歴史の中枢的な条件を前にしており、我々は驚くべき天地間の使命を任されているのです。皆さんは身を置くにも置くところがないのにもかかわらず、地上の問題にあえぐ立場にいてはならないのです。いまだに自分のための安逸な生活理念を立てられない過程にいるというのです。

 我々は、地上に天の法度を提示して勝利した後から、安息できるようになるのです。今日、皆さんはこのような過程に置かれているというのです。このようなことがどこで繰り広げられるのでしょうか。今日、民族的な優越性を表す先進国家がありますが、彼らが誇るものよりももっと誇らしいことは、どの民族が神様に近いのかということです。

 今日我々が知らなければならないのは、「私は神様の民族である」「私は天の民である」「私は天の子女だ」ということです。この自覚をもって生きるようになれば、必ず闘いの路程を経なければならないということです。この世の中は悪なる世の中であり、悪の歴史をもった社会であるので、このような人たちをそっくりそのまま歓迎しないというのです。(三―四一)

3 神様の解放のために不屈の精神で前進しよう

 統一教会が行く所には妨害物がたくさんあります。だからといって、後退することはできません。すべてのものを克服しながら前進しなければなりません。

 神様のみ旨を中心として、アメリカが解放されて初めて、世界が解放されます。アメリカはさまざまな面で、神様の祝福によって準備された国です。神様はこのアメリカが汚されることを願われません。皆さんは倫理的脱線、共産主義の浸透、人種問題などによって内的に大きく腐敗しているアメリカを、誰が救ってくれると思いますか。アメリカ人自身ではできません。自ら自分の国を見て、落胆せざるを得ない今日のアメリカが、神様を解放してさしあげることができるでしょうか。

 斜陽の道にさしかかったアメリカの教会が、神様を解放することができるでしょうか。それゆえ、神様はアメリカに対して期待することができません。

 神様は、アメリカを通して成し遂げようとされたその理想を、新しく発展させていける群れが出現することを待ちわびてこられました。その希望の実体がまさに我々なのです。アメリカのCIAが、調査しながら中傷しているレバレンド・ムーンです。アメリカが無視しているレバレンド・ムーンです。

 先生は、そのアメリカを滅ぼしにきた人ではありません。それを誰よりも皆さんがよく証明しています。皆さんは、先生以上にアメリカを愛さなければなりません。そして、いつも「私自身は神様を保護し、神様を守ってさしあげるべき正しい人間として、アメリカと世界のための大事を行っている」という自己の確信をもたなければなりません。

 皆さんは戦場に向かうとき、激戦場に行くことを願いますか、それとも、楽な戦場、後方に行くことを願いますか。どちらを選択しますか。ベトナムやカンボジアなどから生きて帰るアメリカの兵士たちを見て、我々は興奮を隠すことができません。アメリカに神様の祝福を残すために、皆さんはどのような激戦場であっても勇敢に飛び込んで、堂々と征伐してしまおうという堅固な決意を誓わなければなりません。悪辣な国際共産主義者たちが牛耳る戦場にも、統一思想という新しい武器をもって飛び込まなければなりません。

 皆さんにそのような自信がありますか。統一教会に入ってきた所感はどうですか。ただ、いいものばかりですか。恐ろしいですか。ものすごく素晴らしい所だと思いますか。統一教会は、サタン世界から見れば、とても恐ろしい所です。しかし、神側から見れば、とても素晴らしい所です。

 先生は、どんなに激しい反対にぶつかっても、不屈の精神でそれを受け入れて消化してしまいます。皆さんも、最後の戦場に立ったという自覚のもと、先生のような不屈の精神で、神様の解放、神様の自由のために前進してくださることを願います。苦難の道と、どのような戦場でもためらうことなく先頭に立っていこう、という精神で最善を尽くしたならば、巨大なアメリカも遠からず神様の前に帰ってくるだろうと確信します。

 我々がアメリカで勝利すれば、その勝利的影響は世界各国に及ぶようになります。しかし、これは楽なことではありません。

 皆さんは、先生と共に勝利の旗を掲げるべき運命を天が賦与したということを忘れてはなりません。それを信じますか。そのことを知っていますか。自分に賦与された使命を果たすことができると考えますか。皆さんはこの地球上で誰よりも正しい道を発見した人たちです。皆さんはそのような立場で自分自身と神様に宣誓して、神様を代身して闘おうという覚悟ができていますか。

 我々はこの強大なアメリカに向かって、世界的な使命を抱いて四方八方で急いで活動しなければなりません。我々は、どれくらい切迫した時点に立っているのかをはっきりと知りました。各自自分に与えられた使命を自覚した皆さんには、落胆というものはあり得ません。躊躇もあり得ません。敗北することもあり得ません。ただ前進、さらに前進があるのみです。

 我々は勝利を勝ち取って、神様に栄光をお返ししなければなりません。我々は、自分がそのような尊貴な隊列に立った存在だということに対して、いつも自負心と矜持をもち、この巨大な目的達成のために総邁進しなければなりません。

 そのようになれば、皆さんは最高の勝利者として神様から祝福を受けるのです。永遠であられる神様の愛を、たっぷりと受けるようになるのです。皆さんは十分に、神様の素晴らしい息子、娘となり得る資格を備えた人たちです。(一九七五・七・一三)