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第四章 統一の根本理論

第一節 闘争の根本原因

一.堕落前の人間が成すことのできた一つの世界

 堕落しない人が一つに団結できる動機が何かというならば、一つの国、一つの世界、一つの宇宙を中心として完全に統一されることでした。統一されたそのような国で生きるすべての人には、神様を中心として一つになり、どのように幸福に生きるかということが一つのモットーにならざるを得ません。そこには分裂があり得ないのです。もし分裂したならば、それ自体の破綻はもちろん、国と世界に対して、あるいは神様に対して直接的な反対になり、直接的な被害になるのです。これはあまりにもはっきりとよく分かり得ることだと言わざるを得ません。結局、個人が立った立場は神様を基盤として世界を基盤として、その次には国家、民族、氏族、家庭を基盤とした立場でなければならないというのです。神様から世界に至るまで、全部が我々個人の基盤になるというのです。

 結局一つになれないということは神様を暴いてしまうことであり、世界を暴いてしまうことであり、国家を暴いてしまうことであり、自分の宗族を暴いてしまうことであり、自分の家庭を破綻させる結果になるというのです。これはあまりにもはっきりとしたことです。そのような立場にあるために、そこには分立というものがあり得ないというのです。どれだけ一つになったかということが全体の価値を代表する表象になるために、それを標準として一日の生活をして、生涯全体の路程を歩んでいかざるを得ないのです。これが人生であり、家庭、社会、国家観にならざるを得ないというのです。

 そうであったならば、神様を中心とした永遠不変の一つの主権国家が、主権の世界が形成されたのです。そして、その国家ならば国家を統治するところにおいては、必ず神様の指示によって治めることができる国になったのです。その国とその主権においては反対するものがあり得ないというのです。我々の体のような一つの構造になっているために、神様が頭ならばその頭に対してどのような肢体も反対できないように、一つの体系化された理想的な世界にならざるを得ないというのです。それゆえ、神様が喜べば我々人間は自動的に喜ぶことができ、我々が喜べば神様も自動的に喜ばざるを得ないというのです。

 暗い世界においては太陽を中心として、すべてのものが統一されるのです。それと同じように、一つの世界は神様を中心として、すべてのものが統一的な形状を描いていくというのです。もしそのような世界になっていたならば、神様を中心として生きる個人を皆さんが見たでしょうし、家庭も見たでしょうし、氏族、民族、国家、世界も見たのです。また霊界に行っている霊人たちと共に生きるのを見たのです。それゆえ、その霊界は別の国ではなくて一つの国だというのです、一つの国。そのような世界になっていたならば、その世界には戦争というものはあり得ません。今日このように混雑に言語も分立されなかったのです。(七二―二八六)